外国人留学生採用の”今”を伝えるリュウカツニュース Vol.1
外国人留学生採用トレンド(株式会社オリジネーター調べ)
- 企業のグローバル化や多様性の進展により、外国人留学生の採用が活性化。
- 当社運営の『リュウカツ』登録者の内定獲得者数が3年で4倍に。
- 内定先企業の業種は、メーカー中心から様々な業種へ多様化。
- 近年、教育機関での留学生就職促進プログラムが充実。
- 採用充足率が低いIT業界では、今後ますます留学生採用が広がる見込み。外国人留学生の就職率は3割にとどまるも、採用現場では大きな変化が
日本政府が2008年に発表した「留学生30万人計画」は、日本への留学生を2020年までに14万人から30万人に増やそうという計画でした。日本学生支援機構(JASSO)の発表によれば、その数は2018年5月1日現在、既に298,980 人に達しています。
しかしながら、留学生の6割が日本での就職を希望しているにもかかわらず、日本国内で就職する割合は、まだ3割程度にとどまっています。売り手市場の中、日本人大卒者の就職率が97.6%(2019年5月1日現在/厚生労働省・文部科学省調べ)であったことを考えると、非常に低い数字です。
日本政府が2016年6月に「日本再興戦略」で発表した「外国人留学生の日本国内での就職を現状の3割から5割に向上させる」という目標もまだ大きく下回っていますが、実際の採用現場では、近年、受け入れ側の企業と留学生が在籍する教育機関の双方に大きな意識の変化が起こっています。
『リュウカツ』には、2019年5月末現在で約12,000人(約95ヵ国・地域)の留学生が登録していますが、登録者の増加とともに、内定獲得者数も大きくアップしました。
『リュウカツ』登録者の内定獲得者数※は3年で4倍に増加
下のグラフの通り、2015年度に127人だった内定獲得者数※は、2018年度に約4倍の514人となりました。
※内定獲得者数:『リュウカツ』登録者のうち、当社の就活サポートを通じて内定を獲得した留学生の数
内定先企業を業種別に比較すると、2015年には「メーカー」が6割を占めていましたが、2016年以降は4割前後で推移しており、販売・接客などの「サービス」が増加しています。
2018年の「その他」には、人材、メディア、ゲーム、教育、公的サービスなどが含まれており、それぞれ件数は少ないものの、業種が多様化してきていることがわかります。
『リュウカツ』内定獲得者のプロフィール
留学生の出身国・地域は、中国が最も多くなっていますが、比率を見ると2016年から2018年の2年間でマイナス11.7%となっており、代わりに東南アジアが台頭してきています。マレーシア・ベトナム・タイ・インドネシアの合計は、2016年の29.1%から2018年は33.1%に増加。近年、日系企業が東南アジア地域への拠点拡大をしている状況を受け、同地域出身者の採用ニーズが伸びていることがわかります。
在籍教育機関は、2016年から2018年の2年間で大学院の比率が44.6%から29.0%に15.6ポイント減少する一方で、専門学校が7.6%から19.1%へ、日本語学校が5.9%から9.1%へと大きく伸びています。
これは、日本での就職を目的とし、自国で大学を卒業した後に来日する留学生が増えているためと考えられます。
留学生内定増加を促す採用現場の意識の変化とは?
弊社は、2006年より13年にわたり外国人の人材紹介事業を行っていますが、採用現場では、この間に受け入れ側(企業)と教育機関の大きな意識の変化を実感しています。
企業側の変化
◆2006年当初
・外国人留学生(ほぼ新卒)にコストをかけて採用する意識を持っている企業はごく少数でした。
・また、採用する場合でも、日本語力の高さや日本文化・慣習に対する理解など、日本人と同じように働ける人材を望むケースが圧倒的でした。
・ただし、優秀な日本人新卒者を採用するのが難しかったり、将来的に海外進出を考える地方の中小企業などが留学生を採用し、成功している事例もありました。
◆2019年現在
・企業のグローバル化と多様性の進展、日本人新卒採用の困難さなどの要因により、優秀な外国人留学生の採用を積極化する企業が増加しました。
・日本企業の場合「日本語ができなくてOK」とする企業はほぼありませんが、以前のような“日本人のように働く”ことを求めるのではなく、外国人としての視点を活かした働き方を求める企業も増えています。
・ただ、外国人材受入れ体制が社内で整備されていない企業もまだまだ多く、今後は各社が外国人材をどのように活用していくかが課題といえます。
教育機関側の変化
◆2006年当初
・外国人留学生のための特別な就職支援をする教育機関はごく一部しか見られませんでした。
・特に上位大学は、大学はあくまで学術研究をする場所であるとの認識が強く、留学生に対する就職支援の優先度が高くありませんでした。
◆2019年現在
・様々な就職支援プログラムを用意する教育機関が出てきています。
・特に文部科学省が進めている「留学生就職促進プログラム」選定大学においては、様々な活動を通じて就職率アップをコミットするなど、支援を強く推進しなければならない動きも出ています。
今後、ますます留学生採用が活性化すると予想 その要因とは?
今年5月30日付の「特定活動」告示改正により、日本の大学または大学院を卒業・修了した留学生の就業領域が緩和されるなど、国としての就職支援が進んでいます。今後、アニメ・漫画・ゲーム・日本料理など「クールジャパン産業」への就職が可能になることが見込まれる他、外国人留学生にもメリットのある「通年採用」が浸透する可能性もあり、外国人留学生の就職率は更に向上すると思われます。
「2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によれば、企業の新卒採用充足率は全体で84.4%となっていますが、業界別に見ると「ソフトウェア・通信」が77.3%で最低となっています。日本ではいわゆるIT人材が不足しており、そういった分野においては、専門性の高い外国人留学生への置き換えが進んでいくことが予想されます。当社は、理工系外国人留学生の採用支援を強みとしており、今後、この分野での更なる内定率向上を目指しております。
オリジネーターでは今後も、留学生・企業へのアンケート調査や、外国人採用の成功事例など、様々なテーマでレポートを発信してまいります。
レポートの内容に関するお問合せ、ご取材のお申込みなど、お気軽にご連絡ください。
「リュウカツニュースVol.1」資料は、以下よりダウンロードいただけます。
https://prtimes.jp/a/?f=d45936-20190617-8927.pdf
レポート執筆者:株式会社オリジネーター 取締役 専務執行役員 工藤尚美
リクルートグループ企業にて企画開発、営業職として勤務後、日本語教師を経て、日本語教育機関の語学事業部・国際事業部長とし て、外国人材への教育に国内外で携わると共に、留学生募集に従事。 2006年より企業向けの外国人材採用支援・留学生を中心した 外国人材就職支援事業を開始。外国人材採用コンサルティング やグローバル研修等、「高度外国人材の採用・育成活用」をキーワードに、多岐にわたり企業向け採用サポートを手がける。
社 名 : 株式会社オリジネーター https://originator.co.jp/
所 在 地 : 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-12 monparte北参道6階
設 立 : 2001年12月
資 本 金 : 1,000万円
代 表 : 代表取締役 長谷部 裕樹
事業内容 : 外国人材採用支援事業 https://ryugakusei.com/
事業許可 : 有料職業紹介事業許可番号 13-ユ-300900
一般労働者派遣事業許可番号 般13-ユ-302460