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外国人留学生採用の“今”を伝えるリュウカツニュースVol.3

「リュウカツニュース」は、理工系の外国人留学生の人材紹介を強みとする株式会社オリジネーターが発行する、外国人留学生の日本における採用動向を伝えるレポートです。

『2019年度 内定者パーティー レポート』
~日本の企業で働く外国人社員、来春から働く外国人留学生のホンネとは?~

2006年より外国人留学生の就職支援を行うオリジネーターは、日本での就職を希望する外国人留学生のための就職情報サイト『リュウカツ』を運営し、毎年秋に内定者パーティーを開催しております。10月上旬に開催した2019年度の内定者パーティーでは、弊社の就職サポートを通じて内定を獲得した外国人留学生に加え、すでに日本の企業で働いている外国人社員や、これから就職活動を始める外国人留学生など約60名が参加しました。
「リュウカツニュース」Vo.3では、内定者パーティーに参加した方のインタビュー、そして今年の外国人留学生の採用傾向についてお伝えいたします。

日本の企業で働く外国人社員、内定を獲得した外国人留学生インタビューの要点

  • 入社の決め手は、母国との繋がりがあること。将来は母国に帰り、活躍したい (③, ⑤)
  •  日本の企業の良いところは、未経験でも仕事に就ける (②)
  • ジョブローテーションは、視野が広がり、他部署の業務の難しさを理解して思いやりが持てる (①)
  • 海外は「実力主義」だが、日本は、年齢だけで昇進させる「年功序列制度」に違和感 (①)
  •  日本の企業で働く上で、外国人であることの強みは、母国語・英語・日本語など「情報源が複数ある」こと。
  • 特にIT業界では、日本語だけでは情報収集が遅れ、利用しているツールが時代遅れになることも (②)

総括ポイント

グローバル採用で重要なのは、「なぜ外国人材を採用するのか」という自社の採用目的をしっかり定め、それを経営陣や人事関連部署のみならず、現場も納得したうえで進めていくこと、さらに求職中の外国人材に向け、その採用目的をわかりやすく発信していくことです。また入社後の活用についても、より具体的に受け入れ体制を整備することです。例えば、新卒の場合、日本人新卒者とは別に、ビジネス日本語やマナー等についての研修を行う、こまめな面談(フィードバック)の実施、相談窓口設置の検討などです。また人事・評価制度についても、年齢や勤続年数等、従来の日本式職能資格制度に捉われるのではなく、客観的かつ透明性の高い評価基準を取り入れるなどして、外国人材が当該企業で長く働きたいと思える環境を整えていくことが大切です

今年の外国人留学生の採用傾向とは?

企業のグローバル化や多様性の進展などの要因から、優秀な外国人留学生を採用したいという日本の企業が増え、『リュウカツ』登録者の内定獲得者数(※)も2015年度から2018年度の間に約4倍に急増。2019年度も順調に内定獲得者数が伸びています。大学側も、留学生向け就職支援に本腰を入れる学校が増加し、留学生も早期から情報を入手できるようになりました。東アジアの留学生を中心に、日本人学生と同じスケジュールで早期に動き、内定を複数社獲得、内定辞退をするケースも増え、優秀な外国人材はより売り手市場になっています。
特に今年の特徴として、人材確保がより困難になったことにより、技術系は特に国籍にこだわらず、採用を拡げていることが考えられます。
※内定獲得者数:『リュウカツ』登録者のうち、当社の就活サポートを通じて内定を獲得した留学生の数

日本の企業で働く、外国人社員のインタビュー

香港出身・女性・26歳

現在勤務している企業:金融機関向け金融決済ソリューション等を行うITベンダー(営業)

ジョブローテーションは、他部署の仕事の難しさが理解でき、思いやりが持てる

香港の大学でインフォメーションシステムの勉強をした後、香港で3年間、日系の銀行で営業をしていましたが、物足りなさを感じていたのと、日本から赴任してくる上長の日本人特有の思いやりがすばらしく、仕事を通じてこれらを身に付けたいと思い、転職をして日本で働くことにしました。

現在は日本の大手銀行のシステム構築等を行う会社で、営業職として1年半働いていますが、お客様に新しいシステムの提案をするときに、日本と海外の違いを感じます。日本ではとても丁寧に、自分が担当するシステムだけでなく、他のシステムにも配慮し、他のシステムにどのような影響があるかなど、お客様に説明します。

また、今の会社はジョブローテーションの制度があり、とてもフレキシブルなので、自分で申請すれば希望通りの部署に異動できます。私も、銀行のシステムのインフラを理解するため、来年の4月からシステムエンジニアとして働きたいと考えています。ジョブローテーションは日本特有の制度で大変すばらしいと思います。海外だと仕事を変えたければ、転職しなくてはなりません。ジョブローテーションの良いところは、他部署の仕事の難しさが理解でき、思いやりを持って仕事ができるところです。反対に、日本の企業で課題だと思うところは、年齢だけで昇進させる年功序列制度。実績がない人が部長になっても、部下が不満を持つだけです。海外の企業は実力主義で実績を出さなければクビになるので、日本の企業は少し甘いかなと感じています。

シンガポール出身・男性・28歳

日本での最終学歴  :東京大学 教養学部(日本の国内政治を専攻)
現在勤務している企業:契約社員・業務委託の形で、エンジニア/プログラマーとして4社で仕事

4つの企業でフレキシブルに働く。今後は留学生が抱える問題解消にも貢献したい

もともと日本のアニメや音楽などの現代文化に興味を持ち、日本語も独学で学びました。日本政府(文部科学省)からの奨学金(国費外国人留学生制度)が得られたこともあり、来日しました。卒業と同時に帰国したら日本を理解しきらずに帰ることになると思い、より日本を知るために日本で就職しました。ただ私は、普通の日系企業で働いたことがありません。最初の会社もベンチャーでしたし、日系企業と言ってもひとくくりにはできないと思います。現在勤務している会社は、①観光系ベンチャー ②ブランディング系企業 ③留学生人材ビジネス企業(顧問) ④外国人の就職を支援するNPO団体の4社。この4社共通の魅力は、出した価値を認めてくれて、時間ではなく成果で評価する「業績重視」であることです。日本の企業で働くうえで、外国人であることの強みは、情報源が複数あること。IT業界では特に顕著なのですが、日系企業では情報収集が遅れ利用しているツールが時代遅れになっているといったことがよくあります。そうならないためには、英語での情報収集力と外国人ならではの人脈がすごく強みになると考えています。また、日本の魅力としては、これまでの経験がなくてもゼロから新たな仕事に就けるチャンスがあること。これは日本の商習慣の良い点だと思います。私も、大学では国内政治を専攻していましたが、現在はエンジニアとして働いています。
今後については特に決めていませんが、例えば5年後一人前のエンジニアになったらそれを自分のプロフェッションとして、自分をより一層鍛え上げて、日本社会に還元していきたいです。私は、他のメンバーと2016年に設立した文部科学省国費留学生協会の会長もしているので、国費留学生が直面している問題に取り組み、後輩のサポート、日本の留学生問題、留学生の就職難なども解消していきたいと思っています。

『リュウカツ』を通じて、日本企業の内定を獲得した外国人留学生のインタビュー

マレーシア出身・女性・22歳

日本での最終学歴:豊橋技術科学大学(機械工学)
内定先の企業  :非鉄金属・産業機械の大手メーカー

日本でしっかり技術を身に付けたら、帰国後起業し母国に貢献したい!

マレーシアで大学3年まで学び、その後来日し、日本の大学の3年生から編入しました。もともと、車の設計・製図を学んでいましたが、日本の方がより専門的に学べると思ったからです。
私のまわりには日本で働いている先輩がたくさんいますが、卒業後のことを先輩や先生に相談したところ、卒業してすぐに帰国するのはもったいないとアドバイスを受けました。日本の大学に3年生から編入したので、日本にはまだ2年しかいません。日本の文化なども勉強したいし、日本での生活をもっと続けたい、経験したいと思ったので、日本で就職することにしました。
『リュウカツ』から紹介されて、会社の事業内容を調べたところ、面白そうだったので、ここに勤めたいと思いました。他の会社も受けて内定ももらいましたが、機械・車・車の部品・車の図面など自分が専攻した機械工学をより活かせるのはこの会社だと思いました。今後は、10年でも20年でも、技術者としてプロフェッショナルになるまで日本にいて、技術を身に付けたら帰国して自分の会社を起こしたいと考えています。そして、マレーシアの発展にも貢献していきたいです。

韓国出身・男性

日本での最終学歴:筑波大学
内定先の企業  :産業フィルターの専門メーカー(営業職)

日本の企業は研修制度がしっかりしているため、経験や実績がなくてもチャンスがある

大学では、国際交流サークルのリーダーとして様々なイベントを企画し、それぞれの国の学生たちと交流を深めました。卒業後は母国ではなく日本で就職しようと思ったのは、経験や実績がなくても、日本の企業は研修制度がしっかりしていてフォローしてくれるからです。韓国では、即戦力のある人材が求められるため、何か専門の資格等がないと就職がとても難しい状況です。
就職活動の際、企業選びで重視したのは、事業が安定していること、そしてワークライフバランスがきちんとしていることです。この会社の事業内容の説明を聞いた時、様々なところでこの会社のフィルターが使われていることを知り、社会に貢献できると思い興味を持ちました。海外営業部には外国人社員も多く、中国やヨーロッパなどの海外営業の経験もできるため、何年かスキルを磨いた後は、韓国に戻って転職をする可能性もあります。

ベトナム出身・男性・29歳

日本での最終学歴:関西大学(商学部)
内定先の企業  :総合情報サービス企業

母国に拠点のある企業で、ITエンジニアとして、日本の“技術”や“働き方”を学ぶ

ベトナムの大学卒業後、現地で約2年間勤め、日本語学校で日本語を勉強した後に、日本の大学院に入学しました。現在、大学院では商学を専攻しています。データマイニングを用いて、顧客インサイトを探る研究をしていますが、これはデータ分析の基礎がないとできません。
私は日本の技術や働き方を学びたかったので、日本で就職したいと思いました。内定をいただいた会社は、①母国のベトナムに拠点がある ②IT業界の中で、一次請負の会社である(下請けではなく、クライアントと直接取引ができる会社)の点から入社を決めました。今後は、ITエンジニアとして働きながらITの国家資格も取って、3~5年以内にはチームリーダーになりたいと思っています。その後は、母国のベトナムに転勤し、母国で活躍したいと考えています。母国に戻れない場合は、別の会社への転職も考えるかもしれません。

2019年度 内定者パーティー 開催概要

↑)内定者パーティーに参加した内定者の国籍内訳

日  程:2019年10月5日(土)
場  所:HAKUSAN HOUSE(東京都文京区)
主  催:株式会社オリジネーター
参加者数:約60名

  1. 内定を獲得した外国人留学生
  2. 日本の企業で働いている外国人社員
  3. これから就職活動を始める外国人留学生

内定先企業の例:
非鉄金属・産業機械の大手メーカー、産業フィルターの専門メーカー、総合情報サービス企業、アルミニウム総合メーカー、自動車・電子機器製品の製造販売企業、電気機器メーカー、電気通信会社、不動産総合マネジメント会社 など

内定獲得者数の推移

※内定獲得者数:『リュウカツ』登録者のうち、当社の就活サポートを通じて内定を獲得した留学生の数

ご参考 【リュウカツニュース バックナンバー】

Vol.1 「外国人留学生の採用トレンド」(2019年6月発行)
https://originator.co.jp/ryukatsu-news-vol1/
Vol.2 「グローバル採用の外国籍人材に必要な日本語レベルと教育のポイント」(2019年9月発行)
https://originator.co.jp/ryukatsu-news-vol2/

株式会社オリジネーターについて

2006年より企業向けの外国人材採用支援・留学生を中心とした外国人材就職支援事業を開始。外国人留学生就職情報サイト『リュウカツ』は、理工系外国人留学生の採用支援を強みとしており、外国人留学生・教育機関(主に大学)・企業の人事担当者の三者と連携を取りながら、外国人採用トータルサービスを提供しています。

[代表者] 代表取締役 長谷部 裕樹
[設立] 2001年12月
[資本金] 1,000万円
[所在地] 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-12 monparte北参道6階
[主な事業内容] 外国人材採用支援事業 https://ryugakusei.com/
[事業許可] 有料職業紹介事業許可番号  13-ユ-300900
一般労働者派遣事業許可番号 般13-ユ-302460
[ウェブサイト] https://originator.co.jp/

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