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日本に来たきっかけ、働こうと思ったきっかけをおしえてください。
キム:アニメやドラマが好きで、憧れがあって日本に来たかったんです。そして、何をやろうかと思ったとき一番好きだった漫画をやりたいと思いました。日本には、新聞奨学生という素晴らしい制度があることを韓国で知り、このチャンスを逃したくないと思い、5年前に来日しました。日本語学校を卒業したあとは、東京デザイナー学院に入りました。ずーっと日本にいたいと思いました。最初はビザの問題とかあまり気にしていなかったのですが、卒業後に漫画家として働くことは難しいと知り、就職先を探していました。
フランク:2011年10月に日本に来ました。子供の頃から漫画やアニメが好きで空手もやっていました。大人になってお金を貯めて、日本に旅行に何回も来ていました。そして、日本に住んでみたい、日本語を勉強したい、働きたいと思いました。日本語学校に入って卒業後は、イラストレーションを勉強しました。学校入って、倉庫や英会話のアルバイトをしながら、絵を描く仕事を探していました。
日本の就職活動は、母国とどう違いますか。
キム:まず専門学生なので自分の分野と同じでないと就職できないということを知らず、サポートしてくれる会社に行って、普通の会社を20社ぐらい受けていました。ハローワークで履歴書を書いても、そんなこと教えてくれず、時間の無駄も、学校生活への支障もありました。誰も教えてくれなかったことが残念でした。学校卒業後、1年間、学校のアシスタントとして働かせてもらい、そのあとリュウカツを教えてもらい、関口さんにメールしたら、すぐ返事がありました。
フランク:アメリカと日本は文化が違うから、面接の手続き、言い方、いつ座ればいいか・・・覚えなければならないことがたくさんあります。すごく難しいと思いました。敬語も英語にはありませんから普通の日本語も難しいのに、面接は建て前もあり、さらに難しいと思いました。大阪にあるゲーム会社の面接の時に、大雪で新幹線がすごく遅れて遅刻したことがありました。会社は面接をしてくれたけど、遅刻した時点で、ダメだと決めていたと思います。履歴書は40社以上に出したと思いますが、手で書くのも大変でした。そして、大抵、履歴書を出して駄目で、就活は進んでいませんでした。
リュウカツのサポートはいかがでしたか。
キム:オリジネーターに行って、会社の紹介を受けて、訪問日を決めましょうとなって、面接日が決まったら1時間くらい練習をしてもらいました。それまで受けていた面接では自分で探して準備していたので、1対1で面接の練習をするのも初めてだし、オリジネーターは留学生のことをよく知っているので素晴らしい指導を受けることができました(笑)
「入ったらこんなことを企画したいと言ったらどう?」などアイデアもくれて…。仕事のことを具体的に理解することができました。メディバンとの面接は1回だけで、すぐに決まりました。面接で社長はフレンドリーで、そんなに緊張せず良かったなあと思いました。面接受けたあと、この会社で働きたいと思いましたし、入って1ヶ月も経たないうちに韓国に出張に行きました。韓国の担当は一人だけなので、すぐにやった仕事の反応が返ってきて、やりがいがありますね。
フランク:まずオリジネーターに行って面接の準備を2、3回しました。日本語力が低いので、たくさん準備が必要でした。日本のビジネスマナー、座り方も教えてもらいました。アメリカでの面接との違いもそのとき教えてもらいました。僕は絶対何か忘れるので、一番大事な、「なぜ会社に入りたいか」を面接で言うのを忘れてしまいました。面接のあとで気づきました。言うつもりだったのに完全に忘れました。面接では、やっぱり、社長も平柳さんもカジュアルで、スムーズに進み、あまり面接を受けているような気がしないくらい、リラックスしていたので忘れてしまったのだと思います。でも、会社と関係あることにたくさん興味があったから、大丈夫だったんだと思います。
はたらいている環境はどうですか。
キム:まずスーツではないし、雰囲気的にカジュアルですね。年齢も周りの人と近いので上から怒られるというのもなく、皆いい人です。
フランク:アメリカでしか働いたことがないけど、同じようにフレンドリーだと思いますね。
キム:会社の雰囲気はもちろんやりやすいけど、気軽に話しながらも、期待してもらっているから、それに対する成果を出さないといけないと思っています。この雰囲気に慣れて、だらだらとすると良くないと常に意識しています。
フランク:日本で働くことは難しいと思ったし、周りの人からは無理と言われていました。日本語を話せるようになるのも無理と言われていました。実際、仕事でも難しいことは多いですね。大学でビジネスを勉強しましたが、大分前でした。そのときはネットやSNSのことを勉強していなかったので、いま最初から勉強しながら仕事をしています。
就活の成功ポイント
キム:日本で就職したい人は、はっきりとした目的を持ってほしいと思います。仕事は何をしてもいいけど、なんとなく日本に残りたい、駄目だったら帰ろう、という気持ちではうまくいかないと思います。絶対に日本に残りたい、会社に入りたいという気持ちではないと日本で働くことはできない。そういう人をたくさん見ていたので、残念に思います。単純なことでもいいので、残りたいならそれだけを思い、頑張ってやってほしい。中途半端ではうまくいきません。
フランク:まず早めに就活を始めたほうが良いと思います。就活を進められていないクラスメートが多かったです。僕は就活がうまくいかなくて、気持ちが沈んだことはたくさんありました。僕のクラスの留学生、とくにほとんどの欧米の留学生は国に帰りました。卒業したら就職できないと決めて、帰っていました。気持ちが沈んでもあきらめないでほしいと思います。
二人:あとは、オリジネーターの関口さんに相談することがお勧めですね!(笑)
これからの目標
キム:日本に10年いて永住ビザをとりたいと思っています。
フランク:僕も同じですが、あとは、会社の商品をアメリカにもっと紹介したい。似たようなソフトがアメリカにたくさんありますので、どうやったらもっとメディバンのソフトが広がるか考えています。
正社員として外国人を採用するのは今回初めてですが、採用の背景や目的をおしえてもらえますか。
まず当社のツールを世界に広めたい、海外展開を促進させたいという背景がありまして、海外の各地域のことをよく分かる人に中核的にマーケティング活動をしてほしいと考え、外国人を正社員として雇用することにしました。
海外マーケティングの責任者として世界各地を見ていると、漫画やアニメを日本固有の文化として見ているような反応が多いと感じています。海外では私たちが開発したこうしたツールがまだ一般的ではないので、反応が良いですね。韓国のユーザーは日本人よりも高いレビューをつけてくれる。海外の人たちの、もともとなかったモノに対する嬉しさ、喜びが伝わり、嬉しいですね。
こういう反応を見ると、これから本格的に海外展開していったほうがいいなと思っています。ゆくゆくはタブレットツールのシェアを7割まで拡大できたらと考えていますし、現実的に到達可能な目標と考えています。これからも現地のことに精通したキムさんやフランクさんのような外国人の社員に対するマーケティング拡大の期待は大きいですね。
採用にあたって、懸念や課題はありましたか。
もちろん初めて正社員で外国人を雇用するということの心配はありました。言語の問題、コミュニケーション、意思の疎通、私たちが常識と思うマーケティングを否定される不安もありました。「うちの国では違うよ」と言われても、誰もチェックできない。あまりにも文化観が違うと、私たちの方法とは違う方法で仕事を進められてしまうのではないか、でも簡単にやめてもらうことはできない、という心配がありました。
お二人が入社し、いかがどうでしょうか。なにか特別に配慮していること、社内で変わったことはありますか。
平柳 豪介マネージャー他の社員と溶け込まなくなると仕事のモチベーションが上がらない、孤立してしまうことが考えられますので、積極的にご飯に誘ったり、お酒飲みにいったり、話しかけたりしています。IT企業は、パソコンに向かっているだけで一日中仕事をすることもできてしまうので、なるべく会話をして意思の疎通がうまくいくように、コミュニケーションに齟齬がでないよう配慮しました。
外国人の彼らも、正直、不安だと思うんですよね。ですから、日本人のスタッフに対するより、多めに、僕だけでなく、他のスタッフにも教育して、皆で一緒にやっています。せっかく働くなら楽しく働いてほしいという想いがあります。私たちの会社は比較的若い会社ですので、固定観念があまりなく、皆、仲間という感じでやっていきたいと思っています。
フランクさんはアメリカ人ですが、意外とシャイで皆からかわいがられています。私たちの会社も人が増え、部署間の交流が減っていたのですが、フランクさんに興味をもつ他の部署の人がご飯行こうと話しかけて、部署間の意思疎通が前よりうまくいくようになったと思います。
キムさんも優秀で、日本語もうまく、マーケティング、営業をぐいぐい進めてくれています。国ごとにSNSの担当を分けているのですが、キムさんの韓国が伸びているので、日本も頑張らないと、と良い刺激をうけているようです。全体的にSNSのフォロワーが増え、盛り上がって来ています。
海外マーケティングを外国人が担う効果はどんなところにありそうですか。
実はキムさんのお陰で、メディバンプロタブレットが韓国で5割以上のシェアを獲得するまでになったんです。現在、日本では3割。正直ここまで海外で伸びるとは想像していなかったですね。
また、韓国であればペンのツールに興味がある人が多いので画像を入れると良いという意見をキムさんが言ってくれて・・・。本当かな、と思ったのですが、実際、キムさんがデザイナーと話して画像を作ってアップしたらリツイートされる回数が増えるなど反応が高まりました。
ほかにも、以前は日本語のプレスリリースを翻訳してもなかなかアメリカや韓国で取り上げられないことが多かったので、なぜなのか真剣に考えたんです。フランクさんが、アメリカであればメールに動画をつけるなどの工夫をするほうが良い、英語をただ直訳しても意味が伝わらないと言ってくれました。実際、英語が分かる人に聞くと確かにその通りだと言うので、そういう点を見直すようになりました。
各国の趣味趣向が全然違うので、住んでいる人ならではの視点だと思いました。面白かったですね。国によって着目点、盛り上がる所が違うのだと感じました。
今後の期待はいかがですか?
日本との比率が逆転するほどのここまでの盛り上がりが見え始めていると、今後は主戦場を海外にしてもいいのではないかと思い始めています。全世界対応のツールとして作って来たので、できるだけ多く層に使ってほしいと思っており、さらに力を入れて行きたいと思います。多くの人に使ってもらえれば、いくらでもビジネス展開の仕方は考えられると思います。韓国は大体目処がついたので、今後は、さらに、中国や東南アジアにも期待したいですね。
会社概要
- 会社名
- 株式会社MediBang(メディバン)
- 事業内容
- マンガ・イラスト・書籍のWEBサービス、無料イラスト・マンガ制作アプリケーション開発
- 本社
- 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町12-10
渋谷インフォスアネックス1F
- 設立
- 2014年1月27日